犬に限界までマウンティング(腰振り)してもらったら意外な展開になった

オス犬を飼っている人なら、誰でも経験があるのではないだろうか。飼い主の足に抱きついて、腰をグイグイ押し付けてくるという行為を。この行為を世間では、マウンティングと呼ぶ。(稀にメス犬もする)

飼い犬ロッキーも、子犬時代から老犬になるまで、このマウンティングをやめることはなかった。

飼い主だけならまだしも、来客者、男女問わず誰にでも、マウンティングをやろうとする。人がいなければ、ぬいぐるみやクッションが被害者だ。

マウンティングをするのは、飼い主を支配したいという思いや、自分の強さを示すために行われるそうだ。

そのまま放置しておくと、犬の方が優先順位が上と思い込み、飼い主を噛み出したり、言うことを聞かなくなることもある。可能であれば、すぐにやめさせるのがよいそう。愛犬ロッキーもマウンティングを始めたらすぐにやめさせていた。

ふとある時おもった。「このまま、マウンティングを限界までやらせたら、どうなるのだろうか?」

小学校5年生ぐらいのことだったと思う。

ロッキーのマウンティングは激しかった。いくらやめさせようとしても、執拗にマウンティングをやめることはなかった。

この日もいつもどうり、マウンティングをやめさせようとした。だんだんやめさせることがめんどくさくなり、このまま永遠にマウンティングされてみようと、ロッキーに完全に身を任せることにした。

ロッキーは、お気に入りの僕の右足の太ももに抱きついた。絡みついている爪先が痛む。ロッキーはマウンティングを始めた。ジーパンを履いていたので、腰をグイグイされても、そこに痛みは感じなかった。

しばらくすると、ロッキー自ら行為をやめてしまった。時間にして5分ぐらいだっただろうか。表情はいつもどうりだが、何かやりきった達成感のようなものは見え隠れしていた。

するとロッキーが突然後ろを振り返って、僕の方にお尻を向けた。ロッキーの尻尾は、丸くなってせり上がっている。お尻が綺麗によくみえた。

その状態のまま、しばらく膠着状態が続く。なにもしないでそのままでいると、ロッキーは、おしりを向けて僕の方に突進してくる。お尻を押し付けてくるのだ。そして、なにもしない僕の方を振り返り、じっとぼくを見はじめた。

「次は、お前の番だ」

犬語がわかるわけではない。でも確かに心の声でそう言った。

「そう言われても、こまるな」と心の中で思い、困った表情を浮かべる僕。そのまま一人と一匹は見つめ合っていた。

ロッキーはしびれをきらしたのか、お尻を向けたままこちらへ突進しだした。最初のころより勢いがある。しかも僕の顔をみたままだ。車のバックをするため助手席の肩部分をもち、後ろを振り返りながら運転するドライバーのような感じだ。今までこんな奇妙な行動をとったことはない。

その時ロッキーはこういった。

「早くしろよ、お前の番だろ」

犬語がわかるわけではない。でも確かに心の声でそう言った。

ちょっとロッキーと距離をとってみる。やはり僕の顔を見つめ、お尻を向けたまま突進してくる。距離が離れた分、突進する際のスピードは上がった。そのまま、距離を取りつつ逃げてみた。

しばらく逃げ続けると、その時ロッキーはこういった。

「逃げるな、まだ終わっていないぞ!」

犬語がわかるわけではない。でも確かに心の声でそう言った。

「そうです、それではお言葉に甘えて」とはならなかった。バックで突進してくる飼い犬に恐れをなし、家の中に逃げ帰ってしまった。

数あるロッキーとのおもいでのなかで、一番強烈に残っている思い出だ。ずっと、この時の体験の記憶が残っており、同じような体験をしたことある人いないか聞いたこともある。そんな体験をしたことある人はいなかった。

この経験をして、思ったことがある。犬の群れ社会の名残で、自分の欲望を満たす方法を、オス犬どうしで見つけていたのではないかと思った。その名残がマウンティングという行為に及ぶ。そして、限界までマウンティングをさせると順番が入れ替わる。

このマウンティングという行為に、犬という生物が過去生きてきた、持ちつ持たれつの関係性を見た気がした。

老犬になるまでマウンティングをし続けたロッキー。力強かったロッキーも、足が弱ってきた頃にはマウンティングはしなくなった。しだいに立つこともできなくなり、最後は寝たきりになってしまった。それから間もなく亡くなってしまった。

あんな力強くマンティングしていた犬も、最後は介護が必要になる。老化というものの物悲しさを感じたのをよく覚えている。

マウンティングをする犬をいいとは言えないが、マウンティングできるイコール元気な証拠でもある。亡くなったロッキーを思い出すと、あんなに嫌だったマウンティングが、ちょっとだけ懐かしくも感じた。

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