お寺で働いてわかったお焚き上げ供養された物の意外な行方

体験・取材・調査
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お寺の意外な裏側を見てしまった。

それは年末年始、東京にある有名なお寺でバイトをした時の話だ。

仕事内容は簡単でだれにでもできる。お寺の本堂に入ってお参りする人のために、靴を入れるためのビニール袋を渡すだけの仕事。楽な上に運がよいと、参拝客からお年玉までもらえるおいしい仕事だった。

袋を渡す以外にもう一つ別の仕事がある。この仕事がかなりの曲者だった。

参拝客からお焚き上げ供養を希望する物を、燃えるもの、燃えないものと、分別をする仕事だ。

一番多く持ち込まれるのがお守り。ビニールや鈴を取り分別する。よく聞く話で「お守りは買った場所で、お礼参りの意味も含めお焚き上げする」という。そんな話はただの迷信なのかもしれない。

なぜなら、僕の目の前に、日本中のお守りが集まっていた。「日本中のお守りを部屋に飾ったらきれいだな」なんて思ったりもした。

お守りの袋の中に、燃えないものが入っている可能性がある。そのため、お守りの中もしっかり確認する。

「お守りの中を見てはいけない」と教えられてきた。仕事だからしょうがないと、嫌々お守りを開けた。

ほとんどのお守りの中には、小さな板のようなものが入っていた。これが、神や仏の分身なのだろうか。神や仏を分別している僕は、一体なにもので、どれだけ偉いんだろうかと思った。

小さな板と一緒に、大切な人なのか、写真を入れている人も多い。

お守りの次に多いのが破魔矢。破魔矢は分別した後、小さくまとめるために、なんと真っ二つにおる。最初は手で申し訳なさそうに折っていた。だんだん手が疲れてきて、後半はひたすら膝を使って「バキッ、バキッ」とリズムよくおっていた。

御札も多い。紙なので、そのまま燃やせるため楽だった。

分別の仕事も楽といえば楽。参拝客に見られないように、お寺のはずれの小さな部屋で、ストーブで暖まりながらのんびり仕事ができるからだ。

お寺で販売されている物だけを分別するのであれば、楽だったかもしれない。それだけではない。個人の所有物がたくさん来る。

仏壇、位牌、遺影。処分に困ってお寺に持っ来るのだろう。たしかに、処分することになったら、どう処分して良いかわからない。

自分が捨てる立場になったら、お寺に行くかもしれない。遺影に写っている人を見ていると、「なぜ、捨てられないといけないのだ」と声が聞こえてきそうで気分が悪くなってくる。

遺影だけではなく、様々な写真が持ち込まれる。修学旅行の集合写真、家族団らんの写真、ただの風景写真。なぜ、大量に写真が持ち込まれるのかわからなかった。

その疑問は一緒に働いている人の声でわかった。

「やばい、これ写っているぞ」その先輩は、写真1枚1枚を確認して霊が写っていないか確認していたのだ。大量にある写真は心霊写真と思われる。

みんなで心霊写真探しが始まる。これだけの心霊写真があれば、写真集でも作れるのではないか。

数は少ないが、日本人形もたくさん持ち込まれる。なぜか日本人形ばかり。ピカチュウ、ドラえもん、キティちゃんなどなど、日本を代表されるようなキャラクターの人形は全く無い。お焚き上げに持ち込まれる人形は、ほぼ100%日本人形。

ドラえもんの毛が伸びても、レゲエに目覚めたドラえもんぐらいにしか思われないかもしれない。

持ち込まれた日本人形は、ぱっと見で「これ呪われているだろう」と想像できるものばかり。

普通の感性なら、この長さの髪の人形を、発売しないだろうと思う人形がたくさん。

腰を抜けて、地面すれすれまで伸びた人形の髪の毛先は、枝毛のようにパサパサになっている。よく言う髪の伸びる人形なのかもしれない。

先輩はめんどくさくくなったのだと思う。人形を投げつけてゴミ袋に入れはじめる。投げつけた人形が、うまく袋に入らず壁に当たると、何かがはずれてしまった。

その外れた何かは、コロコロと転がって、僕の足の甲にピッタリついた。よく見るとそれは人形の首だった。首が外れてコロコロ転がってきたのだ。しかもしっかり目線だけは僕を見ている。僕は悲鳴を上げた。

体力的にはすごい楽な仕事だったが、時間が経つに連れて精神がやんでくる。霊的な影響といものはあるのかもしれない。

仕事中は精神的に疲れたが最後までやりきった。

仕事の最終日の次の日、1週間近く、40度を超える高熱に悩まされた。これが霊的な影響なのかはわからない。もし、同じような仕事をするのであれば、なにかに取り憑かれる可能性も考えて働くのが良いと思う。

今思うと、変わったおもしろいレアバイトだった

意味はあるのか?お焚き上げ供養された物の行方

お焚き上げ供養に持ってこられてきた数々の品々。分別後どこへ行くのか気になっていた。

一部の神社お寺だと、敷地の隅に穴をほって、その中で燃やしているところもある。

僕が働いたお寺は、年末年始だけで数十万人もくる。それに比例して、お焚き上げ供養に持ち込まれる数もすごい。とてもお寺の端で燃やせる量ではない。この仕事を通して、お焚きあげ供養されたものの行方を観察した。

最終的に分別されたものは、ゴミ袋に入れ一ヶ所に集める。その集めたゴミ袋にゴミ収集車が横付けし、そのままごみ処理施設に運ばれていった。

今の時代を考えると燃やすことは難しいかもしれない。でも、お坊さんがお経を唱えて供養するぐらいはすると思っていた。全くそんなこともなかった。

お焚き上げ供養に持ち込んだら、なにかの供養になると思っている人は、そんなことは一切ないと考えていいと思う。

もし何らかの供養をしてほしいなら、個人で神社お寺に頼んでお願いするのが良いと、この仕事を体験して思った。

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