宇宙人といえばどんなお姿を想像するだろうか?
身長は小柄、手足と指が異常に長く、全体的に細身だが、お腹は中年太りのように出ていて、目は大きく、鼻はないが、耳は大きい。顎が細くて、頭は異常に大きい。そして全体的に灰色がかっている。
こんな姿を想像するのではないか。
宇宙人の種類で言ったら、「グレイ型」と言われる宇宙人のイメージだ。
あったこともないのに特徴を想像できるのは、テレビ番組、ネット、本、映画、様々なメディアの影響ではないだろうか。
僕は、UFO、宇宙人、超常現象、心霊番組そういった類が好きで、矢追純一のUFO特番があれば、TVに食い入るように見ていたものだ。
小さい頃は、宇宙人によるキャトルミューティレーション(宇宙人による誘拐)を本気で恐れ、夜も寝れないことがあったぐらいだ。
宇宙人はメディアで見たとおりの姿をしていて、下手したらキャトルミューティレーションされて、どこかの星の人間牧場で飼われることになる。
そんな先入観まるだしの僕の職場に、想像どうりの宇宙人がやって来たことがある。
宇宙人はいるのか!?職場に現れたグレイ型宇宙人
職場で「新人がやってくるので、教えてやって」先輩に指導をお願いされた。
よくある話で気にもとめなかった。
やって来た新人は、前髪がパッツリキレイに揃っていて、顎が細く、目は大きく充血気味、耳は大きく縦に長い。身長はそこそこで細身。手足と指は異常に長い。性別はオスと思われる。そして、今にでも犯罪をしそうな雰囲気をまとっている。
僕は思った。「こいつグレイ型だな。どこの星からやって来たのだろう」すぐにつけたあだ名は、もちろん宇宙人。
「地球外生命体が、UFOに乗ってわざわざ日本に出稼ぎに来るとは」
遠い星の経済の心配もした。
「現時点で宇宙人と気づいているのは僕だけか」そう思っていた。
宇宙人と出会った次の日、友人と一緒に電車で出社した。僕が椅子に座り、友人はつり革につかまって話をしていた。
「昨日、宇宙人に仕事教えたよ!種類はグレイ型に!」
「そのまんま宇宙人でびっくりした。テレパシー使わずに、普通に日本語話していたよ」矢継ぎ早に、宇宙人とのコンタクトの話をした。
職場のある駅に着き、椅子から立ち上がり、忘れ物がないか振り返った。そこには、宇宙人が座っていた。気づかなかったが、ずっと僕の隣に宇宙人がすわっていたのだ。
一瞬やばいと思ったが、気づかないふりをしてそのまま出社。
「宇宙人。UFOではなく、電車で通勤しているよ」宇宙人がいないのを確認して友人に話をした。
その日も宇宙人の指導を任された。朝から指導をして、夕方には一通りの指導が終わる。指導が終わってからも先輩として、仕事のアドバイスは継続してすることになる。
宇宙人は僕が仕事のアドバイスをしても返事もしない。喋りもしない。テレパシーも送らない。
宇宙人とコンタクトがとれない。
宇宙人に無視されている。貴重な体験とも思ったが、恐怖も覚えた。僕はキャトルミューティレーション(宇宙人による誘拐)をされて、別の星の人間牧場に連れて行かれることになるのではないか。
宇宙人は正体がばれたのことに頭にきたのかもしれない。宇宙人と見破ったのは、職場で僕だけだったのか。
ある時、宇宙人と職場の人が、僕に気づかず近くで話をしていた。
宇宙人「◯◯(僕)大っ嫌いなんだよ」
職場の人「なんで?」
宇宙人「人を宇宙人呼ばわりするから」
職場の人「間違ってないじゃん」
宇宙人の顔がみるみる赤くなっていく。
宇宙人と気づいていたのは一人だけではなかったようだ。
その後、宇宙人はすぐに仕事をやめてしまった。おそらく自分の星に、UFOで帰ったのだろう。
宇宙戦争をまぬがれ、宇宙人から学んだこと
この事件をきっかけにして、僕が人の悪口を言ったり、噂話を積極的にしたりすることをやめた。宇宙人と思われる人間を、宇宙人と見破ったとしても、本人に指摘することはやめた。
今回は、個人と宇宙人との、一対一の戦いだった。
複数相手だったら。下手をしたら、宇宙戦争に突入する可能性もあった。
今思うと、キャトルミューティレーションも、侵略もされなかったことを考えると、実は良い宇宙人だったのかもしれない。
人や宇宙人に限らず、悪口や噂話はしないほうがいいだろう。
悪い宇宙人相手だったら、キャトルミューティレーションされ、別の星で人間牧場に送られ、一生苦しむことになるだろう。
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